【基礎】RPAとは?メリットや導入方法など、RPAの全てを徹底解説

  • 5月 24, 2021
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RPAは社内事務作業の効率化を推し進める方法として注目され、近年急速に導入が進められています。

業務効率化には過去にも様々なツールが用いられましたが、既存の業務効率化ツールとRPAの違いはどこにあるのでしょう?また、ブームの背景には何があるのでしょうか?

本稿では、RPA導入のメリットや導入手順、導入にあたって注意すべきことなど、RPAの基礎を徹底解説致します。

RPA(ロボティクスプロセスオートメーション)とは

RPA(Robotic Process Automation)とはPCで行う事務作業を自動化するソフトウェアです。

人の代わりにデジタル業務を行ってくれる作業員と考えることもできるため「デジタルレイバー」とも呼ばれます。

これまで工場業務においては、人の代わりとして「産業用ロボット」が存在しました。工場業務の産業用ロボットに当たるものが、PC業務におけるRPAです。

具体的には、

・ネットから大量の情報をダウンロードし、ファイルに格納する作業
・従業員の出退勤記録や勤怠記録
・一斉メール送信

など、定型的な反復作業を人間の代わりに実行してくれます。

RPAブームの背景

RPAブームの背景には以下3つの要因があります。

人手不足

日本の人口は年々減り続けて高齢化が進んでいますが、これは労働人口も同様です。一方でデータ管理に関する業務が増え、1人あたりの仕事量は増加の一途を辿っています。

こうした現状を踏まえ、PC業務の効率化が求められています。

規制強化と働き方改革

上記の通り、1人あたりの仕事量は増えているにも関わらず、働くことのできる時間は減少傾向にあります。国内では残業や長時間労働を是正するため、規制強化が進められているためです。

必然的に、限られた時間の中で業務の質を向上させねばなりません。デジタルトランスフォーメーション(DX)などの業務改革とも同じ潮流に立っています。

デジタルトランスフォーメーションについては以下の記事で詳しく解説しています。

デジタルトランスフォーメーションとは?革新的な3つの活用事例から学ぶ技術戦略

成功事例の増加

RPAは「前提知識が不要」という特徴を持つため、短期間で成果が得られます。

RPAを試験的に導入した大企業でも次々と成果が現れ、これら導入成功事例がRPA導入の後押しとなっているのです。

RPAの仕組みと特徴

RPAが既存の自動化ソフトウェアと最も異なるのは「UI(ユーザーインターフェース)操作を記録する」という点です。この違いこそ、RPA導入を容易にする最大の要因となっています。

PCにおけるUIとはマウスやキーボードなど、人間がPCを操作するための媒体のことです。

これまでの自動化ソフトは「プログラミング言語」を使って、PC業務の自動化を指示していました。

しかし、プログラミング言語は習熟に時間を要し、誰でも使えるわけではありません。「プログラミング言語を使いこなせる人が少ない」という状況がPC業務自動化の高い障壁となっていたのです。

対して、RPAはプログラミング言語の知識を必要としません。なぜなら、マウス操作(クリックやドラッグ)やキーボード入力自体を記録し、その操作をPCに反復させることができるからです。

プログラミング言語の知識が不要であるため、より多くの人が利用可能になりました。

マクロとの違い

Microsoft Excel には「マクロを組む」という機能が標準装備されており、作業の自動化が可能です。

マクロはVBA(Visual Basic for Applications)というプログラミング言語によって構成されます。VBAの記述はExcelが行ってくれるため、作業者にVBAの知識はほとんど必要ありません。

マクロを使えば、RPAと同様に「UI操作を記録」できるのです。これらのマクロの特徴はRPAと大変よく似ています。

マクロとRPAは何が違うのでしょうか?

最大の違いは「汎用性」です。RPAはあらゆるPC操作に対応しますが、VBAを用いたマクロはMicrosoftが提供するアプリケーションでしか実行できません。

逆に言えば、VBAはMicrosoft製品の自動化に最適化されています。Excelのみを自動化するのであれば、マクロを使った方が簡単、高速であり、特別なソフトも不要です。

AIとの関係

近年では、AIを組み込んだRPAも登場しました。

RPA自体には人間のような状況判断能力は無く、不測の事態には動作停止してしまいますが、この欠点を補うのが、AIです。AIをRPAに組み込むことで、RPAに学習機能を付与できます。

AIを組み込んだRPAも組み込んでいないRPAも、導入当初、不測の事態に動作停止してしまうことは変わりません。しかし、AIを組み込んだRPAは状況と対処法を記録して学習し、自身で判断を下す機能を身に着けることができます。

AIについて詳しく知りたい方は以下の記事をご参照下さい。

IoT x AIが切り開く第四次産業革命!製造業に与えるインパクトと注目サービスを徹底解説

RPAの導入

以降では、RPA導入のメリットや導入方法について解説していきます。

RPA導入のメリット

まずは、RPA導入メリットについての確認です。RPA導入には以下のようなメリットがあります。

業務効率化

RPAは、24時間、365日休みなく稼働でき、人よりも多く働くことができます。

また、単純繰り返し作業に限っては人間より作業スピードが速いです。

業務効率を改善し、「人手不足」や「業務量増加」という課題を解決に導くことでしょう。

ミスの低減

適切に運用すれば、RPAは正確に作業を遂行できるため、ミスによる人的、時間的資源の浪費を抑えることができます。

ただし、注意すべきこととして、絶対にミスをしないわけではありません。また、RPAを使う人間は当然ミスをするので、人間の設定ミスによるRPAの停止は十分に有り得ます。

RPAは適切に管理運用しなければ、ミスを増やしたり、作業量を増加させてしまう原因ともなります。この点は後述します。

コスト削減

上述したRPAの特徴により、通常業務で発生する様々なコスト(主に人件費)を削減できます。

導入に適した分野の条件

AIを組み込んだ高級なRPAも存在しますが、基本的にRPAの得意分野は「単純作業の繰り返し」です。よって、以下の条件を満たすような分野に向いています。

・複雑な処理が不要な単純繰り返し
・PCのみで作業が完結する
・作業量が膨大

導入手順

RPA導入の手順について解説します。

業務プロセスの見直し

RPAの導入に際し、まず最初にすべきことは「どこにRPAを導入するか」を決定することです。RPAは適切な業務を任されてこそ本領を発揮します。

「どこにRPAを導入するか」を決めるために、全ての業務を洗い出しましょう。

それぞれの業務に要している時間や、RPA導入によって削減できる時間、削減できる人件費等を見積もり、RPA導入の優先度を付けます。

RPAツールの比較検討

RPAは各社様々な製品(及び導入サポート、アフターケアなども含むサービスパッケージ)を展開しています。これらの中から自社に適したRPAを選び取らなければなりません。

RPAの選定においては、自社業務の種類、予算、RPA導入関連業務に割ける人の数などを参考にします。

本格導入

RPAを実際に導入する段階です。

無料トライアルを実施しているベンダーも存在し、こうした場合は実際の業務にRPAが堪えるかどうかを検討できます。

導入後はRPAの社内展開と管理運営も重要です。導入効果を事前の期待値と比較して評価し、改善策を共有しつつ、社内展開を進めましょう。

RPAを導入するうえでの注意点

効果を実感する前に社内展開が頓挫する

「事前知識なしに使える」ことがRPA最大の特徴ですが、どんな道具でも習得には幾らかの時間を要します。

導入当初、現場の作業者は使いづらさを感じ、「以前の(手作業の)方が良かった」と思うかもしれません。

しかし、そこでRPAの習得や社内展開を諦めてしまっては、十分にRPAの効果を実感できないまま終わってしまいます。

ここでは、経営層の強力なコミットメントによって、「業務の切り替え」という山を乗り越えねばなりません。

メンテナンスやエラー対応で業務が余計に増える

RPAの設定を誤ったり、予期せぬ事態がRPAの作業に割り込んだりすると、RPAは動作を停止します。

また、RPAを適切に運用しても、エラーを完全に無くすことはできません。OSアップデートで設定が変わり、エラーが発生する場合もあります。

エラーが多く、その度に対応に追われていると「導入前よりも業務量が増えた」ということにもなりかねません。

導入後には、メンテナンスやエラー対応に人員を配置すべきですし、エラーを記録し、改善に結びつける社内システム作りをすべきです。

RPAツールの種類と選び方のポイント

RPAツールを選ぶ際、見るべきポイントは主に、規模(価格)・カスタマイズ可能性・ベンダーのサポートの3点です。

詳しくは以下の記事で解説しています。

RPAの導入事例

最後に、実際にRPAを導入した2社について、導入した業務の種類とその効果を紹介します。

株式会社ジュピターテレコム(J:COM)

ケーブルテレビ、インターネット回線などの通信サービスを提供するJ:COMでの導入事例です。RPA導入以前のJ:COMでは、窓口担当者の負担が大きいという課題を抱えていました。

顧客が手続きを行うオペレーションセンターでは、担当者が情報を登録・確認するための作業は多岐に渡ります。作業が膨大なため、業務が長時間に及び、時間外労働に対する人件費も増えてしまったのです。

こうした課題を解決するため、RPA導入が進められました。

まず、サービス申し込みに関する業務にRPAを導入しました。業務時間が1件あたり約70%削減され、年間では1,800万円のコスト削減に成功しています。

続いて導入を進めたのは「入金確認」業務です。こちらは入金確認業務の時間を約半分に短縮し、年間では約3,000万円のコストを削減しました。

J:COMが注力したのは「全社的統制」と「現場からの声を上げやすい運営」です。部署を横断して相互に助け合う組織作りを意識し、社内展開に成功しました。

参考資料:J:COM様でRPAが本格稼働、まずは2業務において効率化を実現

参考資料:「現場のチカラ」が切り開く業務改革 ボトムアップ重視でRPA活用に挑むジュピターテレコム(J:COM) – ITmedia エンタープライズ

船井総研コーポレートリレーションズ(FCR)

経営コンサルティング事業を展開するFCRの導入事例です。

FCRは社員約200名のうち、9割以上を女性が占めます。産休・育休等で働ける人の数が不安定であるため、こうした人員増減に柔軟に対応できる組織作りを目指しました。

セミナーの参加登録業務においては、セミナー毎に6,000名の参加登録を行います。以前はセミナーの度に担当者が残業して作業を終わらせていましたが、ここにRPAを導入しました。

RPAの導入によって、1件あたりの所要時間は1/3以下に短縮することができました。事務作業における属人性を排除するとともに、残業時間の大幅な削減に成功しています。

参考資料:【経営コンサルティング RPA事例】顧客管理システムへの情報登録、DM名簿メンテナンスなどのデータ管理業務をBizRobo!で効率化。残業時間の大幅な削減を成功させた | RPA テクノロジーズ株式会社「BizRobo!(ビズロボ)」

まとめ

PC業務の量は益々増え、人手は減り、時間は制限されるため、いつかは自動化にシフトしなければなりません。いつまでもExcelで手打ちはできないのです。

現在、私たちは「手入力」から「自動化」への転換点にいます。自動化へと上手くシフトできなかった企業は、今後、人手不足に苦しむことになるでしょう。

本稿では、RPAの基礎に焦点を当て、他の自動化ツールとの違い、RPAブームの背景、導入のメリットや注意点を解説しました。

本稿がRPAの導入と、業務自動化への一助となれば幸いです。