【2020年最新版】IoTプラットフォームとは?違いや選び方をわかりやすく解説

  • 4月 21, 2020
  • IoT
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2020年、世界のIoTデバイス数は300億個を突破しました。モノのインターネットと呼ばれるIoTでは、これらのデバイスが連動して機能します。

「IoTデバイス同士を繋げる」、「デバイスから収集したデータを解析する」、「セキュリティの脅威からデバイスを保護する」など、IoTサービスを稼働させるための土台の役割を担うのが「IoTプラットフォーム」です。

近年は多くのベンダーがIoTプラットフォーム市場に参入し、様々な製品が登場しています。

しかし、IoTプラットフォームは分かりにくい概念でもあるため、「IoTプラットフォームとは何か?」、「IoTプラットフォームはどのように選べば良いのだろうか?」と疑問をもたれている方も多いのではないでしょうか?

そこで本稿では、

  • IoTプラットフォームとは何か、またその役割は?
  • IoTプラットフォームの種類
  • IoTプラットフォームの選び方
  • IoTプラットフォームの主要ベンダー

など、IoTプラットフォームに関する知識を分かりやすく解説します。

IoTプラットフォームとは

「プラットフォーム」の日本語訳は「土台」で、この言葉はIT分野の様々なケースで使われます。

【「プラットフォーム」使用例】

サービス

プラットフォーム

サービス例

パソコン

OS

Windows、Mac、Linux

スマートフォン

OS

Android、iOS

検索エンジン

Webブラウザ

GoogleChrome、IE

IoT

IoTプラットフォーム

AWS、Azure、GCP

産業用IoT

産業用IoTプラットフォーム

LANDLOG、ThingWorx

パソコンのプラットフォームは「OS(オペレーティングシステム)」で、Windows、Mac、Linuxなどがあります。スマートフォンのプラットフォームも「OS」で、AndroidやiOSがお馴染みです。

プラットフォームとは「サービスを動かすための土台」であり、プラットフォーム無しでサービスは動作しません。

IoTプラットフォームの概念を図に表すと次のようになります。

(出所):『Why Digital Matters? ~”なぜ”デジタルなのか~』図表23デジタル・プラットフォームの「4層構造」を基に作成

IoTプラットフォームは、まさに「IoTサービスの心臓」とも言うべき存在で、IoTサービスの品質を決定づけるといっても過言ではありません。

IoTの基礎知識について詳しく知りたい方は、こちらの記事も、ぜひご覧ください。

IoTとは?IoTの最新動向と活用事例をわかりやすく解説

IoTプラットフォームを自社で構築できるのか?

「ベンダーのIoTプラットフォームを使わなくても、IoTサービスを構築できるのでは?」との疑問も沸きます。確かにサービスの形態によっては不要なケースもありますし、自社でプラットフォームを構築すればベンダーとの契約は要りません。

しかし「IoTデバイスからのデータ取得」や「クラウドでのデータ解析」などを全て自社で開発する必要があるため、ベンダーのプラットフォームを活用するのに比べて開発・運用工数がかかります。

IoTでは様々なデバイスとの連携が必要になるケースが多いため、基本的には予め機能が充実しているベンダーのIoTプラットフォームを使ってサービスを稼働させるのが良いでしょう。

IoTプラットフォームの役割

IoTプラットフォームの役割は「IoTサービスを動作させること」です。

IoTサービスは以下の流れで動作し、IoTプラットフォームはこれらを繋ぐ役目を果たします。

【IoTサービスの動作順】

①モノに取り付けたセンサーから情報を収集

②収集したデータを集約(一か所に集める)

③集約したデータを解析し、モノ(ヒト)にフィードバック

上記を「自動運転技術」に置き換えてみます。

①自動車に取り付けたセンサーから、速度や車間距離・位置情報などのデータを収集

②収集したデータをクラウドに集約

③集約したデータを解析し、自動車にフィードバック

①→②及び②→③のプロセスをIoTプラットフォームのサービスを使って実装します。なお、自動運転に関するIoTは「Mobility IoT」と呼ばれ、自動運転に特化したプラットフォームが使われます。

IoTプラットフォームの種類

IoTプラットフォームは、「水平型」、「垂直型」、「オールインワン型」の3つに分類することができます。

①水平型プラットフォーム

「水平型プラットフォーム」とは、業界に縛られずに使えるIoTプラットフォームです。

一例として、パナソニックのプラットフォーム「Vieureka(ビューレカ)」があります。Vieurekaはカメラ映像の分析に特化したIoTプラットフォームで、鉄道・コンビニ・不動産・イベントなど、防犯を必要とする様々な業界での活用が見込めます。

「水平型プラットフォーム」を手掛けるベンダーは、一つの業界に縛られることなく他の業界に横展開することで、シェア拡大を目指します。

②垂直型プラットフォーム

「垂直型プラットフォーム」とは、特定の業界に特化したプラットフォームです。

建築業界向けのプラットフォーム「LANDLOG」や、後ほどご紹介する「Lumada」、「ThingWorx」、「Mindsphere」などの産業用プラットフォームが該当します。

「垂直型プラットフォーム」を手掛けるベンダーは、特定の業界においての機能を充実させることで、業界内のシェア拡大を目指します。

③オールインワン型プラットフォーム

「オールインワン型プラットフォーム」は、「水平型」と「垂直型」両方の特徴を持つプラットフォームです。

Amazonの「AWS」、Googleの「Google Cloud Platform(GCP)」、Microsoftの「Azure」などが該当します。

「オールインワン型プラットフォーム」を手掛けるベンダーは、あらゆる業界で使えるプラットフォームを目指します。昨今はベンダー同士の提携が加速していて、オールインワン型を目指す動きが活発化しています。

IoTプラットフォーム選びで重要な3つのポイント

ここでは、IoTプラットフォームを選ぶ上で欠かせない3つのポイントをご紹介します。

ポイント①:Functionality(機能性)

「IoTプラットフォームに含まれる機能」に注目した選び方です。

例えば、IoTサービスの構築にAIエンジンを使いたいと考えた際に、どのAIエンジン使うのかによって利用するIoTプラットフォームが決まります。

Amazon SageMakerであれば「AWS」、Watsonであれば「IBM Watson」、TensorFlowであれば「Google Cloud Platform(GCP)」を選ぶことになります。

ポイント②:Connectivity(接続性)

「IoTデバイスと繋げられる機能」に注目した選び方です。

例えば、工場内のデバイスに取り付けたRFIDタグとの連携を構築するのであれば、RFID分野のサービスに強いPTCのThingWorxなどが、IoTプラットフォームの候補になります。

なお、製造や物流をIoT化する場合は、産業に特化した「産業用IoTプラットフォーム」を中心に選定を進めると良いでしょう。

ポイント③:Scalability(拡張性)

「データ量に応じてリソースを自動で割り当てる機能」に注目した選び方です。

IoTサービスは、時間帯によってデータ量にばらつきがあります。例えば、自動車運転技術であれば、早朝や夜間に比べて日中のデータ量が多くなるでしょう。工場や物流の生産ラインも同様です。

リソースの自動拡張はほとんどのIoTプラットフォームに搭載されている機能ですが、例えばAWSでは「使ったリソースだけ料金がかかる」従量課金制を採用しているなど、料金体系が異なります。

プラットフォームを選ぶ際には、拡張性の有無に加えて「リソースとコストの関係」を忘れずに比較することが大切です。

IoTプラットフォームの主要ベンダー

ここでは、IoTプラットフォームの主要ベンダー5社をご紹介します。

Amazon/AWS

Amazonの「AWS」は、PaaS(Platform as a Service)の分野で約40%のシェアを誇る、最も多くのユーザーに使われているIoTプラットフォームです。連携サービスや運用事例が豊富にあるため、初めてIoTプラットフォームを利用する方も検討材料に困りません。ユーザー数が多いため、インターネットで検索すれば情報はすぐに手に入ります。

Microsoft/Azure 

Microsftの「Azure」は、AWSに次いで2番目のシェア(約20%)を誇るIoTプラットフォームです。「Project Brainwave」によるAIのリアルタイム応答や同社のクラウドサービス「Microsoft365」との連携などに特徴があります。

IBM/Watson IoT Platform

IBMの「Watson IoT Platform」は、Watsonによる高度なAI解析が特徴です。データはブロックチェーンに保管されるため、データ改ざんのリスクが小さく、セキュアなIoT環境を構築できます。

Google/Google Cloud Platform(GCP)

Googleの「Google Cloud Platform(GCP)」は、機械学習ライブラリ 「TensorFlow」、画像分析「Cloud Vision API」、テキスト分析「Natural Language API」など、Googleが提供している最先端のサービスを利用できます。

パナソニック/Vieureka(ビューレカ)

パナソニックの「Vieureka」は画像解析に特化したIoTプラットフォームです。来店した顧客の顔認証や防犯カメラの解析など、画像処理に関する様々なサービスを提供しています。

産業用IoTプラットフォームの主要ベンダー

産業用IoTプラットフォームとは、産業分野に特化したIoTプラットフォームです。

スマートファクトリーを目指す多くの企業は、IoTサービスの構築に産業用IoTプラットフォームを利用しています。

ここでは、産業用IoTプラットフォームの主要ベンダー5社をご紹介します。

ランドログ/LANDLOG

ランドログは、コマツ、NTTドコモ、SAPジャパン、オプティムの4社が出資して誕生したIoTプラットフォーム事業会社です。

「LANDLOG」は建設生産に特化したIoTプラットフォームで、長年コマツが培った産業ノウハウがふんだんに詰め込まれており、建材の在庫管理から摩耗状況の解析まで、建設に特化した様々なサービスが利用できます。

日立/Lumada

日立の「Lumada」は、製造業、運輸業、不動産業など、業界に縛られずに利用できる産業用IoTプラットフォームです。半導体の製造工程自動化や医療装置向けの故障予兆診断など、様々な産業での実績が豊富にあります。

PTC/ThingWorx

PTCの「ThingWorx」は、MicrosoftやRockwellとのパートナー協定を結ぶなど、企業と提携しながらサービスの拡張を続けている産業用IoTプラットフォームです。昨今はRFIDのチップを製造している米国Impinjと提携し、RFIDソリューションの普及にも力を入れています。

シーメンス/MindSphere

シーメンスの「MindSphere」は、徹底したオープン性を追求しているプラットフォームです。ユーザーファーストを掲げ、ベンダーとのパートナー協定を結びながらプラットフォームの機能を充実させています。

GE/Predix

GEの「Predix」は、エッジデバイスとの接続をサポートする「Predix Edge」に特徴を持つ産業用IoTプラットフォームです。昨今ニーズが高まっているエッジコンピューティング関連の機能を充実させることで、他のプラットフォームサービスとの差別化を図っています。

まとめ

IoTの普及に伴い、多くのベンダーがIoTプラットフォームを提供しています。それぞれ特徴があり、運用するIoTサービスごとに適切なサービスは異なります。

ランニングコストはもちろんのこと、連携できるサービスや拡張性を考慮した上でプラットフォームを選択することが大切です。

またIoTプラットフォームの世界規模でのシェアは、アメリカ、中国、ヨーロッパ各国が主流です。サービスの継続性を判断するためにも、ベンダー同士の提携状況を一度確認しておくと良いでしょう。その際、Webメディア「ビジネス+IT」様の記事(※1)がとても参考になります。

(※1):IoTプラットフォームとは何か? 正しい選択をするためのたった1枚のスライド

ぜひ大局的な視点を持ち、自社のビジネスを加速するIoTプラットフォームを選択するように心がけましょう。