在庫を抱え過ぎてしまうと、値引きして商品を売らなければいけなかったり、売れなくなった商品を廃棄しなければいけなかったりします。このような過剰在庫は、何が原因で起きてしまっているのでしょうか。また、どのように解決していけばよいのでしょうか？
今回は過剰在庫の問題を解決する方法をご紹介します。この記事を読めば、在庫管理の手間を省けるようになり、リアルタイムの在庫状況を把握できる仕組みも構築できるようになるため、ぜひ参考にしてみてください。
過剰在庫とは
過剰在庫とは、需要を上回る在庫を倉庫に保管している状態をいいます。在庫不足で販売機会を失われてしまうことを恐れて発注した結果、過剰在庫の状態に陥ってしまうのです。過剰在庫は以下の問題を招くため、避けるようにしましょう。
[過剰在庫の問題]
- 在庫の価値が下がる
- 在庫を保管するスペースが必要になる
- 棚卸業務の負担が増える
- 経営状態が悪化する
過剰在庫になりやすい商品
過剰在庫になりやすい商品は、以下に該当する商品です。
バリエーションが多い商品
一人ひとりのお客様の要望に応えるために、サイズ色のバリエーションを増やすことがありますが、人気のないサイズや色は過剰在庫になりがちです。商品の最小単位SKU（サイズ・色）で在庫管理せずに同じ量を仕入れてしまうと、過剰在庫に陥る可能性が高まります。
そのため、なかなか売れないサイズ・色だけ発注量を抑えるなど、在庫を抱えすぎないための工夫をしましょう。可能であれば、SKU単位で商品管理するのがおすすめです。
在庫管理の最小単位SKUについて詳しく知りたい方は、下記の記事を読んでみてください。
関連記事：『SKUとは？設定方法から在庫管理や商品陳列を楽にする方法まで紹介』
流行に左右するトレンド商品
流行を左右するトレンド商品は、販売機会の損失を防ごうと大量に仕入れてしまいがちです。しかし、トレンド商品は売れ行きの見通しが立てにくいため、想定より売れないと過剰在庫になってしまいます。
トレンド商品が売れなくなると、値引きをしたり処分したりしなければいけなくなります。
競合商品が多い商品
需要がある商品でも、競合商品が多い場合は自社の商品が売れるとは限りません。需要を見込んで在庫を抱えても、自社商品が売れないと過剰在庫になってしまいます。その結果、競合他社より価格を下げて商品を売り込むことになってしまいます。
需要が少ない商品
ニッチな商品や「SS」や「3L」のような特殊のサイズの商品など、一般向けではない商品は需要が少なく、どのくらいの売上が見込めるのか予測が立てにくいため、過剰在庫に陥りやすいです。商品の人気が出たと思っても、突然人気が落ちることもあり、需要予測が見込みにくい傾向にあります。
過剰在庫を抱えるリスク
過剰在庫を抱えると、次のようなリスクが発生します。
キャッシュフローが悪化する
過剰在庫は、キャッシュフローに悪影響を及ぼしてしまう恐れがあります。なぜなら、仕入れの支出だけが増えて売上が見込めず、手元資金がなくなってしまうためです。その結果、他の事業活動に使える資金がなくなり、最悪の場合には会社が倒産してしまう恐れがあります。
在庫の価値が下がる
在庫を長期間保存しておくと、本来の商品の価値より下がってしまいます。例えば、トレンド商品の場合は流行が終わると商品が売れなくなって、値下げしなければいけなくなるでしょう。また、商品を長期間保存して型が落ちてしまうと売れ行きが悪くなってしまいます。商品が劣化して売れなくなり、廃棄しなければいけなくなれば、収益が見込めなくなってしまいます。
不必要なコストがかかる
過剰在庫を抱えると不必要なコストがかかります。
[在庫管理でかかるコスト]
- 人件費…在庫管理業務を行うスタッフの給与
- 倉庫代…在庫が多くなるほど広いスペースが必要になる
- 水道電気光熱費…倉庫の照明や冷凍や冷蔵などで電気代を使用する
- 金利…売上が見込めずに早期に返済ができなければ、支払利息が増える
上記のような余分なコストをかけないためにも、過剰在庫にならないように気をつけましょう。
過剰在庫が起きてしまう原因
過剰在庫が起きてしまう主な原因は3つです。
在庫管理が徹底されていない
1つ目の原因は、在庫管理が徹底されていないことです。倉庫の整理整頓ができていなかったり、SKU単位で在庫管理をしていなかったりと適切な方法で在庫管理が行えていないと、過剰在庫になってしまいます。
例えば、商品番号だけで管理をしている場合、サイズや色のバリエーションが多い商品を一括で仕入れることになります。その結果、人気のサイズ・色の商品は売れますが、不人気のサイズ・色の商品が売れずに過剰在庫となってしまうのです。
在庫管理のやり方を見直したい方は、下記の記事を読んでみてください。
関連記事：『在庫管理とは？基本から効率化するツールまで徹底解説』
関連記事：『在庫管理システム・ソフトの選び方のポイントとおすすめソフトを一挙にご紹介！！』
リアルタイムで在庫管理ができていない
2つ目の原因は、リアルタイムで在庫管理ができていないことです。入荷や出荷による在庫状況の共有にタイムラグが発生すると、発注業務でミスをしてしまうでしょう。
例えば、在庫切れの商品が、今日の夕方に入荷予定だとします。商品の入荷予定を共有・把握できておらず商品を再度発注してしまうと、余分に発注した分は過剰在庫になってしまいます。
需要予測の精度が悪い
3つ目の原因は需要予測の精度が悪いことです。需要予測は必ず当たるものではありませんが、毎回、需要予測が外れてしまうのはよくありません。需要予測をして商品を仕入れたにもかかわらず、売れ行きが悪く在庫で長期間保存しなければいけなくなります。その結果、過剰在庫になってしまうのです。
経験や勘に頼らない需要予測の方法について詳しく知りたい方は、下記の記事を読んでみてください。
関連記事：『需要予測の手法とは？基本の流れから具体的なやり方まで解説』
過剰在庫を防止できるソリューション
過剰在庫が起きないようにするためには、以下のような取り組みが必要です。
- 適切な在庫管理を行う
- リアルタイムで在庫状況がわかる状態にする
- 需要予測の精度を上げて将来必要な在庫数を予測する
これらの取り組みはRFIDやAIなどのソリューションで解決できます。今回は過剰在庫を防止できるソリューションをご紹介します。
RFIDについて詳しく知りたい方は、下記の記事を読んでみてください。
関連記事：『【更新】RFIDとは？仕組みや特徴、最新の活用事例をわかりやすく解説！』
関連記事：『RFIDの位置情報で探し物が見つかる！？入出荷・棚卸しだけではないRFIDの新たな活用法』
Locus Mapping
出典元：『Locus Mapping』
Locus Mappingは、リアルタイムの在庫の位置までわかる在庫管理システムです。通常の在庫管理システムでは、どの商品がいくつあるかまでしか把握できません。しかし、Locus Mappingであれば、RFID技術（※）を活用して、倉庫のどこに商品を保管しているかを位置特定できます。
Locus Fork
出典元：『Locus Fork』
Locus Forkとは、フォークリフトにRFIDリーダーを取り付けて、倉庫内の荷物を搬送する際に同時に在庫管理ができるようにするためのソリューションです。棚卸や入出庫管理、ロケーション管理など自動で行えるため、在庫管理の業務を大幅に短縮できます。
RFID自動読取ゲート
出典元：『RFID自動読取ゲート』
RFID自動読取ゲートは、入荷・出荷時に商品を通過させるだけで入出庫業務を完結させられます。また、LoucusMappingと併用すれば、倉庫のどこに商品を保管しているかを可視化することも可能です。
RFID自動読取ゲートは、他社製品と比較して小型で軽量、アンカー打ちの必要もない気軽さと性能の高さで支持を集めているソリューションです。
AI需要予測
AI需要予測は、将来的に見込まれる販売数を予測するAIシステムです。データとAIを用いることで、これまでは担当者が経験と勘で行っていた需要予測を、より高精度に行えるようになります。高精度な需要予測が行えるようになれば、販売機会を損失しないで、過剰在庫にもならない適正な数の在庫を抱えられるようになります。
AI需要予測について詳しく知りたい方は、下記の記事をお読みください。
関連：『AI×需要予測で業務改善！サービスの選び方から導入方法まで解説』
まとめ
過剰在庫とは、需要を上回る在庫を倉庫に保管している状態をいいます。過剰在庫の原因は、正確な需要予測と適正な在庫管理ができていないことです。中には、在庫管理業務にかかわるスタッフを手配できない企業もあるでしょう。
過剰在庫の問題は、デジタルソリューションを活用して、在庫管理を自動化してリアルタイムの在庫状況を可視化することで解決できます。この記事を読んでRFIDを活用した在庫管理に興味を持った方は、ぜひ、弊社までお問い合わせください。
