日常生活で手にする商品や、宅配便のラベル等、あらゆるシーンで目にするバーコード。しかし、その仕組みや構成要素について詳しく理解しているという人は少ないかもしれません。今回は、バーコードについての知識をより深められるよう、仕組みや構成要素、読み取り方法を詳しく解説します。
バーコードとは
バーコードとは、バー(黒い線)とスペース(白い線)を組み合わせにより、数字や文字を表現した符号を指します。
バーコードスキャナ等の機器を使用することで、情報を高速かつ正確に読み取れることから、小売、物流、製造など、さまざまな業界で活用されています。
バーコードは、小売店やスーパーマーケットの業務効率化を目指し、1940年代にアメリカで開発・研究が始まった技術です。日本では、1978年にJANコードが開発され、1980年代にスーパーやコンビニエンスストア等を中心に急速に普及が進みました。現在、バーコードの種類は100を超えるとされており、国や業界、用途などによって使い分けられています。
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バーコードの仕組み
バーコードの情報はどのように読み込まれるのでしょうか。ここからは、バーコードの読み取りの仕組みや、読み込みに利用するバーコードスキャナの種類について解説します。
バーコードの読み取りの仕組み
バーコードの情報は以下のような仕組みで読み取られます。
- 光学機器の光源をバーコードに照射する
- 光を当てると、バーコードの白い部分は強く、黒い部分は弱く光が反射する
- 光の反射の違いを電気信号に変換し、アナログ波形を得る
- アナログ信号をデジタル信号に変換(A/D変換)する
- デジタル信号のコード体系を特定し、データを取り出す(デコード処理)
バーコードスキャナの種類
バーコードスキャナには、読み取り方式の違いや、形状によってさまざまな種類があります。導入時に適切なバーコードスキャナを選択できるよう、それぞれの特徴について、しっかりと把握しておきましょう。
読み取り方式
バーコードスキャナの読み取り方式は大きく「CCD方式」と「レーザー方式」の2種類があります。それぞれの特徴やメリットについて解説します。
CCD方式
CCD方式のバーコードスキャナとは、光源にLEDを、受光素子(光情報を電気信号に変換する半導体)に「CCDセンサ」を使用したものを指します。
CCD方式のバーコードスキャナは、さらに、バーコードをタッチして読み取るタイプと、バーコードから離して読み取るタイプの2種類に分けられます。
タッチ方式のバーコードスキャナは、内蔵されたレンズでLEDの光を拡散し、バーコードに均一に照射して読み取りを行います。そのため、読み取り率が高く、誰でも操作がしやすいメリットがあります。また、小型かつ低コストで導入・運用が可能な機種が多い点も特徴として挙げられます。
離し読みタイプのバーコードスキャナには、タッチ式では読み取りが難しい、長いバーコードが読み取れるメリットがあります。内部に駆動部品がないため、故障しにくく、耐環境性に優れている点も特徴です。
レーザー方式
レーザー方式のバーコードスキャナとは、光源にレーザー光を使用したものを指します。
レーザー方式のバーコードスキャナは、レーザー光を内蔵の回転ミラーに反射させ、バーコード上をスキャンしながら照射します。そのため、読み取り率が高く、遠距離や、幅の広いバーコード、湾曲したバーコードの読み取りも可能です。
形状
バーコードスキャナには「ハンディタイプ」「ガンタイプ」「定置式タイプ」「ウェアラブルタイプ」「ペンタイプ」等、さまざまな形状があります。それぞれの特徴や活用シーン、メリットについて解説します。
ハンディタイプ
ハンディタイプはその名の通り、手に持って使用するバーコードスキャナを指します。スーパーやコンビニエンスストアなど、幅広いシーンで活用されている最も一般的なタイプのバーコードスキャナです。
ガンタイプ
ガンタイプは、ハンディタイプ同様、手に持って使用するバーコードスキャナを指します。形が銃に似ていることからその名称がつけられています。スキャナのヘッドを立てて読み取りができるため、棚などに置かれた商品のバーコードの読み取りに適しています。
定置式タイプ
定置式タイプは、カウンタなどにおいて使用するバーコードスキャナを指します。置き型のため、手で持つ必要がなく、POSや検品作業など、広く活用されています。バーコードの向きを問わず読み取りが可能なため、読取処理速度が速い点も大きな特徴です。
ウェアラブルタイプ
ウェアラブルタイプは、手や指に装着して使用できるバーコードスキャナを指します。手指の動きを妨げず作業ができるため、細かい作業を要する現場にも適しています。
ペンタイプ
ペンタイプは、ペンのように持って使用できるバーコードスキャナを指します。バーコードの上をなぞるように動かし、読み取りを行うため、大きなバーコードや、密集したバーコードでも的確にスキャンできる特徴があります。構造がシンプルなため、小型で軽量なモデルが多く、低コストで導入、運用ができる点もペンタイプのメリットといえます。
バーコードの構成
バーコードを構成する要素について確認していきましょう。
①バーコードシンボル
バーコードシンボルは、バーコード全体の図形の部分を指します。バーとスペースを組み合わせて並べることで、数字や文字、記号を表現しています。
②クワイエットゾーン(マージン)
クワイエットゾーン(マージン)は、バーコードシンボルの左右にある余白の部分を指します。クワイエットゾーンは、バーコードの情報を正しく読み取るために欠かせない部分で、ナローバー(細いバー)の10倍(コードの種類によっては7倍)以上を確保する必要があります。
③スタート/ストップキャラクタ
スタートキャラクタはデータの始まりを、ストップキャラクタはデータの終わりを表す文字を指します。スタート/ストップキャラクタの有無や、使用される文字の種類はバーコードの種類によってそれぞれ異なります。
④データ(メッセージ)
データ(メッセージ)は、商品番号や価格情報などの情報が記録されている部分を指します。
⑤チェックデジット(シンボルチェックキャラクタ)
チェックデジットは、バーコードの読み誤りがないかをチェックする検査数字を指します。バーコード内の数値やデータを元に計算され、一般的にバーコードの末尾に付加されます。
バーコードの長さ
バーコードの長さは、左右のクワイエットゾーンとバーコードシンボルを合わせた長さを指します。バーコードスキャナの読み取り幅に、クワイエットゾーンも含めたバーコード全体が入っていないと、正確な読み取りができないので注意しましょう。
バーコードの高さ
バーコードの高さは、データやチェックデジット等の数字(アルファベット)を除いた、バーの上から下までの長さを指します。バーコードの高さは、印刷可能な最大限の大きさ(バーコードの長さの15%以上)を確保することが望ましいとされています。
バーコードのバーとスペース
バーコードは、細太のバーとスペースの組み合わせで構成されており、以下のような名称がつけられています。
バーとスペースの細太の比率は、以下のように規定されています。
NB : WB = NS : WS = 1 : 2 〜 3(推奨値 1 : 2.5) |
ナローバーの幅を推奨値より細くすると、バーコードのサイズが小さくなり、桁数の多いバーコードの印字も可能になります。一方、ナローバーの幅を推奨値より太くすると、読み取り範囲が広くなり、ドットプリンタ、FA用インクジェットプリンタ等でも印刷が可能になります。
バイナリレベルとマルチレベル
バーコードには、バーとスペースの幅が細太の2サイズのみの「バイナリレベル」と、複数の幅のサイズで構成されている「マルチレベル」の2種類のコードがあります。
バイナリレベルのナローバー(スペース)・ワイドバー(スペース)のサイズ比率は、上述した通り、1:2〜3と許容度が広く設けられています。
一方、マルチレベルのバーコードは、サイズ比率が正確に決められており、許容度はほとんどありません。そのため、印字状態が悪いと、バーコードの情報が正確に読み取れない可能性が高くなります。JANコードやCODE128、GS1 DataBarなど、マルチレベルのバーコードの印刷をする際は、解像度の高いプリンタを使用するのがおすすめです。
バー・スペースの構成 |
サイズ比率 |
使用されているバーコードの種類 |
|
バイナリレベル |
細太2サイズ |
1:2〜3 |
CODE39 NW-7 ITF |
マルチレベル |
4サイズ |
1:2:3:4 |
JAN/EAN/UPC CODE128 |
8サイズ |
1:2:3:4:5:6:7:8 |
GS1 DataBar |
まとめ
バーコードは、バーコードスキャナをかざした際の、光の反射の違いを利用してデータの読み取りを行う技術です。情報を素早く正確に読み取れることから、在庫管理や商品管理、物流業務や資産管理など、さまざまな業務で活用が進んでいます。
自社の業務にバーコードの導入を検討する際は、バーコードの仕組みや構成要素、バーコードスキャナの種類等を事前に理解しておくと、適切なコードやスキャナの選択がしやすくなります。